函館五稜郭病院への消棒シリーズの導入が決定
北海道道南地域の中核病院である函館五稜郭病院※は、動けない患者がおられる場所、高額の高度医療機械が設置されている場所などで、初期消火時に躊躇なく使える消火具として、二酸化炭素消火具「消棒シリーズ」の導入を決定されました。
※診療科28、病床数480、2次救急を行う道南地域の中核病院。地域がん診療連携拠点病院として、がん医療に力を注ぎ、PET/CT、放射線治療機器「CLINAC iX」、手術支援ロボット「ダ・ヴィンチSi」を始めとした高度医療機器を備える。医療スタッフ、病院運営を行うマネジメントスタッフなど1000名以上の職員を擁する。
目次
- 導入の経緯
- 導入箇所について
- まとめ
導入の経緯
病院には消防法によりスプリンクラーの設置が義務付けられていますが「特定施設水道連結型スプリンクラー設備の面積要件に算入しない部分(いわゆる設置対象から除かれる場所)」があるそうです。函館五稜郭病院では北海道胆振東部地震の発生を機に防災体制強化の一環としてスプリンクラー未設置場所を詳細に確認されたところ、設置対象から除かれる場所は広範囲で且つ多部署にわたることが改めて認識されました。また、それらの部署においも初期消火用としては粉末消火器のみが設置されている状況が確認されました。
同病院では、このための対策を検討され、『スプリンクラーが誤作動して水がかかることすら問題となる場所であるにも関わらず、実際に火災が発生した時目の前に即時避難が困難な患者(透析中、お産中、手術中の患者など)が居る中で粉末の消火器を躊躇なく使用できるだろうか』。また、『軽微な火災の初期消火に粉末消火器を使用し、結果として高額な医療機器が使えなくなるようなことはできれば避けたい』、したがって『こうした場所では患者への影響や医療機器を汚損せず躊躇なく使用できる消火器が必要なのでは』との結論に至ったそうです。
この結論は、同病院の「防火・防災対策委員会」に提起され、純水タイプや二酸化炭素タイプの消火器(消火具)を導入することが正式に決定されたそうです。そして、『院内各部署と実際の導入製品を検討したところ消棒シリーズ採用の運びとなった』とお聞きしました。
導入箇所について
「透析室」
透析室
透析機械
透析中の患者さんは動かせません。また透析機械も繊細な扱いを擁する高度医療機器です。患者さんが持ち込む通信機器などのモバイルバッテリーからの発火も想定しているそうです。
「検体検査室」
検体検査室
検査が止まってしまうと、診療への影響は甚大です。
また、検体検査室の検査機器や冷蔵庫、サーバーなどを合わせると数億円に達するそうです。ABC消火器(粉末式)を使用するとどの位の損失があるかわからないそうです。
「PET/CT撮影装置」
PET/CT撮影装置
函館五稜郭病院では、この装置(1台数億円)を2台備えています。
装置本体からの出火は想定していないものの、室内コンセントからトラッキング火災※が発生することも有り得ると想定されています。
※コンセントとプラグの隙間にホコリが溜まり、そのホコリが空気中の湿気を吸収することで、漏電し発火する現象
「電算室」
電算機、サーバーは熱を持ちやすいため火災の発生※があり得ます。
※2017年3月16日の川崎市幸区堀川町のオフィスビル20階の通信施設開発会社から出火、20階建てビルの同社サーバー室約20平方メートルが被害。警察(幸署)で、出火原因を調べたところサーバー室の機械付近からの出火とみられるとのこと。
まとめ
当社では、函館五稜郭病院でどのような検討をされたのかを具体的にお聞きするため、同病院を訪問し、関係者の方々から話しをお聞きするとともに、たくさんの院内施設などを見学させていただきました。そして、病院では本当にたくさんの高額の精密な高度医療機器が使われていること、たくさん職員の方々が医療や病院運営業務に従事し、毎日1000人近くの方が来院され、400名以上の方が入院され、お見舞いにもたくさんの方が来られること、そのため防火、消火を含めた防災対策には細心の注意を払われていることを実感しました。また、二酸化炭素消火具は人にもモノにも優しい初期消火具として、重要な役割を果たせることをあらためて認識しました。