
九州から梅雨明けが進み、今年も本格的な猛暑の季節が到来しました。気象庁では全国的な高温が予想されており、専門家からは「偏西風の蛇行の変化により、ヨーロッパを襲った異常高温に近い現象が日本でも起こる可能性がある」との指摘もあります。
こうした高温環境では、私たちの身近にあるリチウムイオン電池を搭載した製品の火災リスクも高まります。
NITE(製品評価技術基盤機構)によると、2020~2024年に報告されたリチウムイオン電池搭載製品の事故は1,860件、その約85%が火災事故であり、事故件数は6~8月に最も多くなる傾向があります。

そこで今回は、猛暑時に特に注意したいリチウムイオン電池製品と、事故を防ぐポイント、万一発火した場合の対処法について解説します。
1.リチウムイオン電池製品を総点検しましょう
あなたはいくつ持っていますか?スマートフォンだけでなく、モバイルバッテリー、ハンディファン、ワイヤレスイヤホン、スマートウォッチなど、私たちは毎日複数のリチウムイオン電池製品を持ち歩いています。

2.夏はどんな場面が危険?
☑ 炎天下の車内
炎天下の車内では、室内温度が60℃以上に上がることがあります。スマートフォン、モバイルバッテリー、ハンディファン、ワイヤレスイヤホンなどを放置しないようにしましょう。

☑ 炎天下で長時間使用
炎天下でリチウムイオン電池製品を長時間使用すると、高温環境に加え、GPSや通信機能などによる電池の充放電、さらに体温の影響が重なることで、本体が異常に発熱するおそれがあります。

☑ 落下したまま使用
リチウムイオン電池製品を硬い地面に落下させると、内蔵のリチウムイオン電池が損傷し、その後の使用でショートを起こし、発熱や発火につながる危険があります。

落とした直後に異常がなくても安心できません。数日後や充電中に発煙・発火することがあります。
☑ カバン・バッグの中で圧迫
カバンやバッグの中に、スマートフォン、モバイルバッテリー、ハンディファンなどのリチウムイオン電池製品を詰め込むと、製品同士や、鍵・ペットボトルなどの硬い物に圧迫され、内蔵されたリチウムイオン電池が損傷するリスクがあります。

☑ 充電したまま就寝・充電中に使用
東京消防庁によれば、令和6年中に発生したリチウムイオン電池関連火災のうち、約6割が充電中に発生しています。内蔵されたリチウムイオン電池が損傷した製品を充電した場合や、メーカーが指定していない充電器やケーブルを使用した場合には、発熱・発火のリスクが高まります。
充電は目の届く範囲で行い、寝るときは充電しない、充電しながら使用しないようにしましょう。異変を感じた場合は、すぐに充電を中止してください。

3.こんな症状が出たら要注意
次のような症状が現れた場合は、事故につながる危険があります。使用状況に応じて適切に対処してください。
☑ 膨らんでいる
燃焼性のガスによって膨らんでいる可能性があります。使用を中止し、メーカーや販売店に相談してください。
☑ 熱くなる
リチウムイオン電池の温度が高くなっている可能性があります。充電や使用を中止し、十分に冷めるまで使用しないでください。繰り返し熱くなる場合は使用を中止し、メーカーや販売店に相談してください。
☑ 落としたことがある
内蔵のリチウムイオン電池が損傷し、後日の事故につながる可能性があります。異常が認められた場合は使用を中止し、メーカーや販売店に相談してください。やむを得ず使用する場合も、充電中は目を離さないなど十分に注意してください。
4.発煙・発火したら
リチウムイオン電池製品から発煙・発火した場合は、次のように対応してください。
・周囲の人の安全を確保する
・火花や煙が激しく噴出している場合は近寄らない
・火花や煙の勢いが収まったら、大量の水や消火器で消火する
・消火後、安全に配慮し、可能であれば水没させる
大きな火炎が発生し、対処が困難な場合は、無理に消火しようとせず、安全な場所に避難して119番通報してください。
【動画】モバイルバッテリー「8.異常・発火時はどうする?」(製品評価技術基盤機構(NITE))
【図】STOP!リチウムイオン電池関連火災(令和7年12月版)(東京消防庁)

5.廃棄方法
住宅の中だけではなく、誤った廃棄方法によるごみ処理中の火災も急増しています。不要品を処分する際は、製品の取扱説明書をよく確認した上で、お住まいの自治体が定める廃棄方法に従ってください。
【図】STOP!リチウムイオン電池関連火災(令和7年12月版)(東京消防庁) 
ごみ収集車や処理施設で火災が発生すると、作業員の安全や施設の運営にも大きな影響を与えます。
6.まとめ
夏は人だけでなく、リチウムイオン電池にも過酷な季節です。落下や高温、充電方法を少し意識するだけで、多くの事故は防ぐことができます。
この夏は、毎日使う身近な製品を一度点検してみましょう。




