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リチウムイオン電池による事故・火災

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リチウムイオン電池による事故・火災

リチウムイオン電池(LIB)は、他の二次電池※に比べ、高容量、高出力、軽量という特徴から、さまざまの電子製品、電気製品に用いられるようになっています。その結果、発熱、発火、やけど、破裂、火災などの事故が増える傾向にあります。
そこで本稿では、リチウムイオン電池が用いられている製品とそれらの製品のリスク、正しい取扱い方法などについて紹介したいと思います。
※一般に、くりかえし充放電が可能なものを二次電池、使い切りのものは一次電池と呼ばれます。

1.リチウムイオン電池(LIB)が用いられている製品の火災、事故の事例

携帯電子機器・製品

スマートフォン、モバイルバッテリー、ノートパソコン、タブレット、携帯音楽プレーヤーなど

火災事例1「ごみ収集中のごみ収集車から出火した火災」
(令和2年1月 10時頃 ごみ収集車 負傷者なし)

この火災は、道路上で可燃ごみ収集中のごみ収集車荷箱内で、可燃ごみとして捨てられたモバイルバッテリーが押しつぶされたため、バッテリー内部が短絡し出火したものです。清掃事務所職員は、収集作業中に焦げ臭いにおいを感じたため荷箱内を確認すると、中から煙が出ているのを発見しました。

ご注意!
リチウムイオン電池などの充電式電池を捨てる際は、区市町村の分別回収方法をご確認いただくか、家電量販店などのリサイクル協力店にお持ちください。なお、リサイクル協力店と回収方法の最新情報は、一般社団法人 JBRC のホームページからご確認ください。

事故事例1「モバイルバッテリーの焼損」(2017年4月、大分県、性別不明)

モバイルバッテリーに搭載されていたバッテリーパックのセルに、金属片の混入や電極板の不良などが生じた不具合品が混入していたため、内部ショートが生じて異常発熱し、焼損する事故が発生した。当該製品は事故発生前にリコールが実施されていた。

ご注意!
お手持ちの製品がリコール対象かどうか確認し、リコール対象の場合は不具合が生じていなくても速やかに使用を中止し、購入した販売店や製造・輸入事業者に相談する。
出典:独立行政法人製品評価技術基盤機構(NITE)HPより

事故事例2「鞄に入れたスマートフォンが焼損」(2015年10月、京都府、女性)

鞄に入れたスマートフォンに外から力が加わったため、内部ショートが生じて異常発熱し、焼損する事故が発生した。なお、取扱説明書には、「分解しない。無理な力や強い衝撃を与えない。発熱・発火の原因となる。」旨、記載されていた。

ご注意!
リチウムイオン電池製品は丁寧に扱う。
出典:独立行政法人製品評価技術基盤機構(NITE)HPより

電気製品

コードレス掃除機(電気掃除機)、電動工具、充電式LEDライト、電動アシスト自転車、玩具など

東京消防庁によれば、平成29年~令和3年のリチウムイオン電池関連火災のうち、コードレス掃除機37件、電動工具28件、電動アシスト自転車19件、LEDライト14件(平成28年~令和2年)、玩具10件(平成28年~令和2年)となっています。

火災事例2「コードレス掃除機用バッテリーパック(非純正品)を充電中に出火した火災」(令和2年3月 15時頃 住宅 負傷者なし)

この火災は、住宅の3階居室内でコードレス掃除機を充電していたところ、バッテリー
パック内部で短絡して出火したものです。居住者が1階の居室にいたところ、上階から大きな音がしたので上階へ行くと、3階寝室のベッドから炎が立ち上がっているのを発見しました。原因は非純正のバッテリーパックを取り付けたためでした。

ご注意!
バッテリーパックは純正品を使用する。

火災事例3「 他社製品の充電器で充電中に電動モップが出火した火災」
(令和3年5月 2時頃 住宅 負傷者2人)

この火災は、住宅の3階居室内で電動モップを入力電力の違う他社製品の充電器で充電していたところ、過電圧によりバッテリー内部が短絡し出火したものです。就寝していた居住者が室内の熱気で目を覚ますと、飛び散った電気モップのバッテリーが周囲のクローゼットと布団などに燃え移っているのを発見しました。この火災で居住者2人が火傷を負っています。

ご注意!
充電器は製品に付属のものを用いる。

事故事例3「LEDヘッドライトから焼損」(2017年12月、大阪府、男性)

ネットで購入したLEDヘッドライトを充電中、バッテリーパックのセルに内部ショートが生じて製品と周辺を焼損する事故が発生した。製品は販売事業者の連絡先が不明であり、どこで製造されているかもわからないようなものであった。

ご注意!
製造事業者や輸入事業者が確かな製品を購入する。
出典:独立行政法人製品評価技術基盤機構(NITE)HPより

事故事例4「電動工具用バッテリーパックからの発火」

インターネットで購入した電動工具用の非純正バッテリーパックを充電していたところ、異常発熱して発火し、床を焼損して足にやけどを負った。

ご注意!
バッテリーパックは純正を使用する。
出典:独立行政法人製品評価技術基盤機構(NITE)HPより

2.リチウムイオン電池(LIB)が用いられている製品についての注意喚起

東京消防庁からの注意喚起

  1. 購入する際は、電気製品が安全性を満たしていることを示す「PSEマーク」※が付いている製品にしましょう。また、モバイル機器の安全性向上に取り組む団体(MCPC)が取り組む評価試験に合格した製品には「MCPCマーク」※が表示され、安全な製品を見極める目安となります。
  2. 各機器を購入した時に付属されている充電器やメーカー指定の物を使用しましょう。
  3. 接続部が合致するからといって、充電電圧を確認せずに使用するのはやめましょう。
  4. 膨張、異音、異臭などの異常が生じたものを使用するのはやめましょう。
  5. 充電が最後までできない、使用時間が短くなった、充電中に熱くなるなどの異常があった際には使用をやめて、メーカーや販売店に相談してください。
  6. 容易に取り外せない場所にある小型充電式電池は、無理に取り外すのはやめましょう。
  7. お住いの地域のごみ回収方法をよく確認し、可燃物ごみや不燃ごみなどに混ぜて廃棄するのは、絶対にやめましょう。

※PSEマーク、MCPCマーク(東京消防庁 広報テーマ(7月号)より)

PSEマークとは

PSEマークとは国の定める安全基準の審査に合格した電気製品に表示されます。電気用品安全法の規制対象となる電気製品は、PSEマークが表示された商品でなければ国内で販売することはできません。モバイルバッテリーは平成30年2月1日から電気用品安全法の規制対象となり、1年間の経過措置期間を経て平成31年2月1日からPSEマークが表示された製品でなければ販売禁止となりました。新規に購入する際には、必ず確認しましょう。

PSEマーク

MCPCマークとは

MCPC(モバイルコンピューティング推進コンソーシアム)はスマートフォンなどのモバイル機器の安全性向上い取り組む団体で、基本性能、安全性などの自主的なガイドラインを策定しており、評価試験に合格した製品にはMCPCマークが表示されています。対象は、モバイルバッテリー、充電ケーブル、アダプターなどです。 MCPCマークも安全な製品を見極める目安となります。

MCPCマーク

PSEマークについての注意喚起(独立行政法人製品評価技術基盤機構(NITE))

「非純正バッテリーの販売ページでは「PSE 認証取得」と表記して書類まで記載しているところもありますが、PSE マークは電気用品安全法の技術基準に適合しているかどうかを製造事業者又は輸入事業者が自ら確認した証として、当該事業者が製品に表示することが可能となるものですので、国や試験機関などの第三者から「取得」するものではありません。」

正しいPSEマークの表示例

正しいPSEマークの表示例

独立行政法人製品評価技術基盤機構(NITE)による注意喚起

非純正バッテリーの使用中の事故が多い

リチウムイオン電池搭載製品の事業者が指定する純正バッテリーは、製品本体及びバッテリー双方の制御機能で安全に動作するよう設計されています。一方で非純正バッテリーは制御機能が正常に働かず事故に至るおそれがあり、購入する際はバッテリーの販売事業者に安全性について確認を行ってください。また、非純正バッテリーのなかには品質の悪いセルが使用されていた製品が確認されています。

【非純正バッテリーの抱えるリスク】

  • 純正品と比べ、設計不良で異常発生時に安全保護装置が作動しないリスクが高い。
  • 純正品と比べ、品質管理が不十分な場合があり、普通に使っても事故に至るリスクが高い。(非純正バッテリーの事故は初回充電時や購入後 1 年未満に多く発生)
  • 事故が発生した際、取り付けた機器のメーカーの対応や補償を受けられない場合がある。
  • リサイクルルートが確立されていないなど、廃棄が困難な場合がある。

リチウムイオン電池搭載製品の事故を防ぐポイント

  • 充電できない、以前使用していた時よりも熱くなるなどの異常がみられた場合は、使用を中止して、販売事業者又は製造・輸入事業者に相談してください。
  • 高温となる場所※に放置する、水没させるなどの事態にならないように取扱いに注意してください。
    ※直射日光の当たる車のダッシュボードの上など
  • 衝撃を避けること。ペットが噛みつくことによる事故もある。

リチウムイオン電池び搭載(内蔵)製品からの発煙・発火した場合

東京消防署やNITEでは、以下のような対処が紹介されています。

  • 小型のものであれば、消火器での消火や大量の水を掛ける、水をためたバケツに投入する、119番通報など。
  • 消火器での消火や大量の水を掛けるなど被害の拡大を防ぐ。大きな火炎により対処が困難と判断した場合は、直ちに避難するとともに 119 番通報する。
  • 熱を持ち膨張してきたモバイル製品は、金属製か陶器製の器に入れ、不燃物の蓋をしたあと密封する。

弊社製品の消棒®消棒®Miny消棒®Rescue(車載向け)は消火剤に二酸化炭素(CO2)を使っているので、製品を汚さず消火することができますが、大きな火災になりそうな場合などは、直ちに避難するとともに 119 番通報してください。

3.【参考】リチウムイオンバッテリーの構造と発熱異常の原因

(1)リチウムイオンバッテリーは、正極と負極を持ちその間をリチウムイオンが移動することで充放電を行う電池のことです。

(2)正極と負極の間にはセパレータが設置され、リチウムイオンを透過し、かつ正極と負極との接触を防いで(内部短絡防止)います。

【図1】リチウムイオンバッテリーの定義と対象

リチウムイオンバッテリーの定義と対象

出典:独立行政法人製品評価技術基盤機構(nite)2019年1月24日付けニュースリリースより

(3)このセパレータが何らかの理由で、損傷すると正極と負極の間にショート(短絡)が起こり、異常発熱の原因となります。

【図2】リチウムイオンバッテリー(LIB)の事故事象

リチウムイオンバッテリー(LIB)の事故事象

出典:独立行政法人製品評価技術基盤機構(nite)2019年1月24日付けニュースリリースより

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著者情報

株式会社ワイピーシステム
消棒シリーズ マーケティング部門

日々の防災分野で役立つコラムを発信。
経済産業省「新連携」事業全国第1号認定を得て、二酸化炭素消火具「消棒®」シリーズを開発し製造販売しています。

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