
4月に入り暖かく穏やかな季節になってきました。ゴールデンウィークも近づき、車でお出かけの予定をされている方も多いかと思います。どうか安全運転を心がけてください。
ところで、車両を運行する場合のリスクとして車両火災があります。以下に出火原因や対応方法などを述べますのでご参考にしてください。
目次
車両出火の出火原因
車両火災(消防白書より)
|
平成30年 |
令和元年 |
令和2年 |
出火件数(件) |
3,660 |
3,585 |
3,466 |
死者数(人) |
70 |
102 |
90 |
令和3年版消防白書より
以上のとおり、毎年3500件程度の車両火災が発生しています。
毎日10件程度の車両火災が発生している換算になりますね。
その中では排気管周りの火災発生が多いほか、ボンネット内や車室内での電気配線周りからの出火も多くなっています。またタバコの不始末による火災も見受けられます。
その他に以下のような出火原因も報告又は指摘されています。
☑漏れた燃料やオイルへ引火
☑エンジンルーム内へ置き忘れた布切れからの出火
☑バッテリーのケーブル先端の部品が緩みショートが発生しオイル等への引火
☑フロントウインドウに透明の吸盤を貼り付け凸レンズ効果により可燃物が発火
☑水を入れたペットボトルが光を集めて高温になったシートから発火
☑車内の直射日光があたる場所にライター、マッチなどを放置し出火
最近の車両火災の例をいくつか取り上げてみます。
南日本新聞・・原因不明
2022/04/06 21:08
https://373news.com/_news/storyid/154258/
「ボンネットから火が…」 男子高校生、車内から逃げ出す 指宿で車両火災
「6日午後2時45分ごろ、指宿市東方の「ダイソー指宿東方店」駐車場で、鹿児島市坂之上8丁目、飲食店経営男性(49)の乗用車から出火、車を全焼し、隣接する平屋倉庫の一部約15平方メートルを焼いた。
指宿署によると、男性は家族3人で買い物に来ていた。出火当時、高校生の息子が車内にいたが、逃げて無事だった。息子は「エンジンはかかった状態で、ボンネットから火が出た」と話している。」
北海道ニュースUHB・・たこ足配線
2021年10月23日10:00
https://www.uhb.jp/news/single.html?id=23829
"無人の車"から出火…ドラッグストアの駐車場で全焼 1か月前に車検済み「配線」ショートした可能性も
「10月21日午後、北海道苫小牧市の駐車場で駐車していた軽乗用車から出火し、全焼しました。
車両火災があったのは、苫小牧市桜木町にあるドラッグストアの駐車場内です。
10月21日午後5時40分ごろ、目撃者から「車が燃えている」と警察に110番通報がありました。
駆け付けた消防により火は約50分後に消し止められ、ケガをした人はいませんでした。 警察によりますと、運転していた男性が買い物をするため駐車場に車を止め離れたあと、車内から出火。
車は2010年式のもので1か月前に車検を受けたばかりだったということです。男性は「車内にたこ足状態の配線があった」などと話しているということで、警察が出火の原因を調べています。 総務省消防庁によりますと、2019年の車両火災の件数は3585件。出火原因で最も多い排気管に続いて、ショートやスパークなど「交通機関内配線」が9.2%の329件となっています。」
Yahoo Japan ニュース・・収れん火災
4/1(金) 21:31配信
https://news.yahoo.co.jp/articles/717f1e523dc41d4d99f449f476b65e666e220b2f
「「焦った」フロントガラスの吸盤で白煙が 注意すべき車の「収れん火災」...体験者明かす当時の状況」
「車のフロントガラスにお守りの吸盤を付けていたところ、突然ダッシュボードから煙が出て...。こんな動画がツイッターに投稿され、話題になっている。
【動画】お守りの吸盤が作用していた
■ケースの縁から白い煙がモクモクと上がり始め... お守りの吸盤がレンズのようになって、車のダッシュボードの上に置かれたケースの縁の1点に太陽光が集まっている。サングラスを収納したケースだ。
すると、ケースの縁から白い煙がモクモクと上がり始める。そのまま放置したら、車両火災になりかねない状況だ。(中略)
吸盤などがレンズの作用をして物を発火させる現象は、「収れん火災」と呼ばれている。
収れん火災は、鏡やガラス玉など様々な物から起こることが知られており、消費者庁は20年11月26日、「『収れん火災』に注意!」などとサイト上で呼びかけた。
※ 消費者庁では、国民生活センターと連携して関係機関から情報を収集する「事故情報データバンク」を2010年から運用している。
このデータバンクによると、収れん火災については、20年9月までの10年間に関連情報が20件寄せられた。
※ 消費者庁2020年11月26日ニュースリリース 「鏡やガラス玉で起こる「収れん火災」に注意!」
https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_safety/caution/caution_043/assets/caution_043_201126_01.pdf
車両火災の防止策
車両は国土交通省の「道路運送車両の保安基準」に基づき、エンジン、ブレーキ、駆動装置、排気管、燃料、電気配線など広範な技術基準が定められており、車や車部品のメーカーは同保安基準に基づいた製造を行っています。
したがって通常の使用によって車両火災が起こることはないものと考えられます。
このため車両火災の原因と防止策は以下のようにまとめることができます。
交通事故に注意
車の構造が破壊されるような事故の場合には出火の可能性があります。
事故を未然に防ぐことがもちろんですが、事故が起き出火した場合の対応については後述します。
人為的な原因を防止
・排気管の近くに可燃物を置かない。
あるいは、車を枯草が覆い茂る場所など、高熱によって発火しやすい場所に置かないこと。
・ボンネットを開け、オイル交換をした場合に布切れを残さない、電気系統を操作した場合(バッテリーのケーブル接続部分など)にきちんと元通りにするなど。
こうした操作は専門業者に依頼する方が安全です。
・車内に火災の原因となるものを持ち込まない、取り付けない。
ペットボトル、アクセサリー取り付用の透明な吸盤、ライター、マッチ、ガソリン、アルコールが入ったスプレー缶など。
・ドライブレコーダー、カーナビ、カーオーディオ類など電気器具を取り付ける場合の配線周りに注意する。
こうした取付けは専門業者に依頼する方が安全です。
・車内で仮眠をとる場合には、エンジンを切る。
寝ている間にアクセルの空ふかしを続けていると出火の原因となる場合があります。
・車の改造は専門業者に依頼する。
とくに排気管周りの安易な改造は危険です。
この他、トヨタ自動車の資料をご参照ください。
(参考)トヨタ自動車株式会社「車両火災を起こさないためにお守りいただきたいこと」
https://toyota.jp/after_service/safety/kasai/include/index.pdf
車両火災が発生した場合
原則、以下の手順で対応します。(状況に応じて一部のみ、または順序が変わる)
(1)ハザードランプの点灯
(2)路肩側に駐車
(3)119番に通報
(4)可能な場合に限り出来る範囲での初期消火
(5)自身や同乗者の安全の確保
消棒®レスキューについて
緊急脱出機能付き小型二酸化炭素消火具「消棒®RESCUE」※は、シートベルト切断機能、ガラス破砕機能に加え、エンジンルームや車両室内の初期消火機能を有しています。
また消火剤には二酸化炭素を使用しており、エンジンルームや室内などを汚しません。
さらに電気系統の消火に用いても液体ではないため電気ショートを起こしません。
以上のことから、車両火災が発生した場合(上記3)の初期消火用に適した製品です。
※消棒®RESCUE( JIS認証商品) https://www.syou-bou.com/products/products_03.html
ただし既に車が炎上している、あるいは炎が車外まで出ているような場合には、危険ですのでご自身や同乗者の安全確保の観点から、車から離れるようにしてください。
初期消火については、消防法令(エアゾール式簡易消火具の技術上の規格を定める省令)に「小規模普通火災」の消火能力として定められています。一例として、自動車クッションの場合には、横1m縦1m高さ10㎝のウレタンフォームに着火して30秒経過した後に消火し消火剤の放射終了時に残炎が認められず、かつ、消火剤の放射終了後一分以内に再燃しないものであること。」とされていますが、実際にどのような火災の状況かは、以下の映像及び写真を参考にしてください。
https://www.youtube.com/watch?v=VNvGMNSnNHQ&t=122s