大雨の日に、冠水した道路に車が水没して「動けなくなった」という事故が、毎年発生しています。水没した車内から脱出できずに命を落とすといった悲しい事故も、少なくありません。
こうした車の水没事故に遭遇したとき、どのように対応すればよいのでしょうか。脱出に役立つ道具の紹介も含め、車の水没事故に備えるポイントをお伝えします。
目次
水没した車からの脱出が難しい理由
水没した車から脱出するのは、容易ではありません。水没した車には、外から大きな水圧が加わります。これにより、ドアを開けるのが通常よりも難しくなるのです。
JAFのユーザーテストによると、60cmくらいの水位でもドアを開けるのに「通常の約5倍の力が必要」という結果が示されています(※)。60cmといえば、一般的なセダンタイプの車だとドアの半分くらいの高さです。この高さの水位でも、車から脱出するのは困難になります。
水没してしまった時の脱出方法
車が冠水や水没したら、速やかに脱出しなければなりません。では、どのようにして脱出すればよいのでしょうか。その方法を紹介します。
窓を開けて脱出する
車種や状況にもよりますが、車は冠水しても浮力により数分間は浮いていられます。水面が窓の下にある状況であれば、窓からの脱出を試みましょう。
まず、シートベルトを外し、座席横の窓を開けます。電動式のパワーウインドウでも、浸水するスピードによっては動く場合がありますので、あきらめずに行動することが大切です。
窓が開かないときは、専用の脱出用ハンマーを使って窓ガラスを割るしかありません。その際に、水没していない側面や後方の窓を割ることが重要です。
一般的に、自動車はエンジンのある前方から沈みます。前方の窓が沈みかけている状態で窓を割ると、割った瞬間に水が勢いよく流入して水没するまでの時間を早めてしまいます。そのため、水没していない側面や後方の窓のほうが脱出しやすいのです。
ドアを開けて脱出する
窓から脱出できないときは、ドアを開けて脱出する方法もあります。ただし、車内がほぼ水没するまで待たなければなりません。車内が水没してドア内外の水圧差が小さくなると、ドアは開けやすくなります。
水位が首のあたりまで上がったら、大きく息を吸い込み足などで力を込めて押し開けます。なお、電磁式ドアロックをしている場合は、水没する前に各ドアにある手動のレバーやノブなどで解除しておきます。
この方法は、タイミングを逃すと脱出できないこともありますから、沈着冷静に行動することが重要です。
水没した車から脱出するのに役立つツール
車が水没したら、窓から脱出を試みるのが第一です。ただし、電動式のパワーウインドウだと、電気系統のトラブルや水圧などで開かないこともあります。こうした事態に備えて、車の窓ガラスを割るための脱出用ハンマーを車内に用意しておくと安心です。
なお、車の窓ガラスは通常の窓ガラスよりも強度が非常に高く、一般的なハンマーで割るのは困難です。自動車の窓ガラスを破砕するための専用の脱出用ハンマーを備える必要があります。
また、水没した状況によってはシートベルトが外れないケースもあるため、カッターも備えておくと安心です。さらに、水害などで冠水した車両では、電気系統の漏電により火災が発生する可能性もありますので、簡易的な消火具も準備しておきたいところです。
「割る」「切る」「消す」の3つを備えた「消棒RESCUE®」
こうした冠水時や水没時の車のトラブルに、ひとつで対応できるツールがあります。それが、ワイピーシステムの「消棒Rescue®」です。
消棒Rescue®は、窓ガラスを割る「ガラス粉砕ハンマー」と「シートベルトカッター」、そして車の火災に対応した「小型二酸化炭素消火具」の1台3役を備える、車用緊急脱出ツールです。
使い方はとても簡単。ハンマーは最低限のエネルギーでガラスを破砕できるように設計されており、力の弱い方でも確実に割れる性能を保持します。シートベルトカッターは、1本あたり2秒未満で切れ、迅速な脱出をサポートします。消火具は、人体に影響を及ぼしにくい二酸化炭素を使用。消防法に準拠した商品で、ガソリン車、ハイブリット車、電気自動車、いずれのバッテリー火災にも有効です。
消棒Rescue®は、世界で初めて「割る」「切る」「消す」の3つを備えた車用緊急脱出ツールとして開発されました。自動車用緊急脱出支援用具に関する国家規格「JIS D5716」の認証を受けており、大手自動車メーカーでも採用実績のある商品です。
いつ遭遇するかわからない水害に備えて
近年は、大規模な被害をもたらす集中豪雨が全国各地で多発しています。
直近でも2022年9月、静岡県を中心に東海地方で大きな被害をおよぼした台風15号では、車が冠水・水没する事故が多数発生。JAFによると、車の冠水による救援要請が静岡県だけで2,062件もあったそうです(※)。この台風による影響で、掛川市では車がため池に転落し、1名が亡くなっています。
また、2023年6月29日から7月3日にかけて、九州北部や山口県に記録的な豪雨をもたらした水害でも、多くの車が冠水・水没しました。山口市では水路に転落した車から男性1人が見つかり、その場で死亡が確認されています。
まとめ
水害は、いつ、どこで発生するかわかりません。いつ襲われても対応できるように、「備えること」が大切だといわれます。車の水没事故でも、車内に脱出用ハンマーを備えておけば万一のときでも助かる可能性が高まりますし、自分の車だけでなく他の車両の事故にも救助や支援ができることもあります。
消棒Rescue®は、コンパクトで使いやすく、スムーズに活用できるアイテムです。万一に備えて、車内に常備されてはいかがでしょうか。