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線状降水帯と危機管理

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線状降水帯と危機管理

1.愛知県豊橋市の死亡事故

本年6月2日から3日未明にかけて、愛知県東部に線状降水帯が発生し、この地域に記録的な大雨をもたらしました。豊川市と豊橋市では一時、河川増水に伴い、5段階の大雨・洪水警戒レベルで最も高い「緊急安全確保」が発令。2番目に高い「避難指示」も東三河の4市町で出されました。

気象庁によると、愛知県田原市で451・5ミリ、豊橋市で419ミリ、蒲郡市で343・5ミリ、三重県鳥羽市で490・5ミリ、大紀町で392・5ミリと、各地で24時間雨量が観測史上最大となりました。

この大雨で、豊橋市下条東町の農地で水没した軽ワンボックスカーから男性(61歳)が意識不明の状態で見つかり、病院で死亡が確認されました。死因は溺死とみられています。

メーテレニュースより|愛知県豊橋市の死亡事故

(メーテレニュースより)

2.線状降水帯とは

次々と発生する発達した雨雲(積乱雲)が列をなし数時間にわたってほぼ同じ場所を通過または停滞することで作り出される、長さ50~300km程度、幅20~50km程度の線状に伸びる強い降水域を線状降水帯といいます。

線状降水帯の代表的な発生メカニズムの模式図

(図 気象庁ホームページより)

これまでの研究により、線状降水帯の発生メカニズムは概ね以下のように考えられています。

  1. 大気下層を中心に大量の暖かく湿った空気の流入が持続する
  2. その空気が局地的な前線や地形などの影響により持ち上げられて雨雲が発生する
  3. 大気の状態が不安定な状態の中で雨雲は積乱雲にまで発達し、複数の積乱雲の塊である積乱雲群ができる
  4. 上空の風の影響で積乱雲や積乱雲群が線状に並び線状降水帯が形成される

しかし、そのメカニズムの詳細については不明な点が多いのが現状です。線状降水帯の発生条件や強化、維持するメカニズムは未解明な点が多く、正確な予想が難しくなっています。

3.線状降水帯による主な災害事例

線状降水帯が発生した顕著な大雨事例

平成26(2014)年8月15日~8月20日 「平成26年8月豪雨」

8月15日から20日にかけて、前線が本州付近に停滞し、前線上を低気圧が東に進んだ。 前線に向かって暖かく湿った空気が流れ込んだ影響で、西日本と東日本の広い範囲で大気 の状態が非常に不安定となった。

このため、局地的に雷を伴って非常に激しい雨が降り、特に、16日から17日にかけて は、近畿地方や北陸地方、東海地方を中心に大雨となり、局地的に猛烈な雨が降った所も あった。また、19日から20日にかけては、九州北部地方や中国地方を中心に大雨となり、 局地的に猛烈な雨が降った所もあった。

<広島県の被害>

死者75名、負傷者68名

住家全壊179棟、半壊217棟、一部損壊190棟

床上浸水1,086棟、床下浸水3,097棟など

(消防白書より)

台風第18号等による大雨 平成27(2015)年9月7日~9月11日「平成27年9月関東・東北豪雨」

9月7日03時に発生した台風第18号は、日本の南海上を北上し、9月9日10時過ぎに愛知県知多半島に上陸した後、 日本海に進み、同日21時に温帯低気圧に変わった。

台風第18号及び台風から変わった低気圧に向かって南から湿った空気が流れ込んだ影響で、西日本から北日本にかけて の広い範囲で大雨となり、特に関東地方と東北地方では記録的な大雨となった。

<被害>

死者8名、負傷者80名

住家全壊81棟、半壊7,044棟、一部損壊384棟

床上浸水2,481棟、床下浸水13,149棟など

平成30年7月豪雨(前線及び台風第7号による大雨等) 平成30年(2018年)6月28日~7月8日

西日本を中心に全国的に広い範囲で記録的な大雨。

6月28日以降、華中から日本海を通って北日本に停滞していた前線は7月4日にかけ北海道付近に北上した後、7月5日には西日本まで南下してその後停滞した。また、6月29日に日本の南で発生した台風第7号は東シナ海を北上し、対馬海峡付近で進路を北東に変えた後、7月4日15時に日本海で温帯低気圧に変わった。

前線や台風第7号の影響により、日本付近に暖かく非常に湿った空気が供給され続け、西日本を中心に全国的に広い範囲で記録的な大雨となった。

6月28日から7月8日までの総降水量が四国地方で1800ミリ、東海地方で1200ミリを超えるところがあるなど、7月の月降水量平年値の2~4倍となる大雨となったところがあった。

<被害>

死者224名、行方不明者8名、負傷者459名(重傷113名、軽傷343名、程度不明3名)

住家全壊6,758棟、半壊10,878棟、一部破損3,917棟、床下浸水21,913棟など

令和2年7月豪雨 令和2年(2020年)7月3日~7月31日

西日本から東日本、東北地方の広い範囲で大雨。4日から7日にかけて九州で記録的な大雨。球磨川など大河川での氾濫が相次いだ。

7月3日から7月31日にかけて、日本付近に停滞した前線の影響で、暖かく湿った空気が継続して流れ込み、各地で大雨となり、人的被害や物的被害が発生した。

7月3日から7月31日までの総降水量は、長野県や高知県の多い所で2,000ミリを超えたところがあり、九州南部、九州北部地方、東海地方、及び東北地方の多くの地点で、24、48、72時間降水量が観測史上1位の値を超えた。

4.線状降水帯への対処(気象庁ホームページからの抜粋)

「避難情報に関するガイドライン」図

(気象庁ホームページより)

気象庁では「顕著な大雨に関する気象情報」※の発表基準を満たすような線状降水帯による大雨の可能性がある程度高いことが予想された場合に、半日程度前から、気象情報において、「線状降水帯」というキーワードを使って呼びかけます。この呼びかけは、警戒レベル相当情報を補足する解説情報として発表します。

※ 顕著な大雨に関する気象情報

現在、10分先、20分先、30分先のいずれかにおいて、以下の基準をすべて満たす場合に発表。

  1. 前3時間積算降水量(5kmメッシュ)が100mm以上の分布域の面積が500km2以上
  2. 1.の形状が線状(長軸・短軸比2.5以上)
  3. 1.の領域内の前3時間積算降水量最大値が150mm以上
  4. 1.の領域内の土砂キキクル※(大雨警報(土砂災害)の危険度分布)において土砂災害警戒情報の基準を超過(かつ大雨特別警報の土壌雨量指数基準値への到達割合8割以上)又は洪水キキクル※(洪水警報の危険度分布)において警報基準を大きく超過した基準を超過

※ 気象庁 キキクル

土砂キキクル(危険度分布)URLはこちら

洪水キキクル(洪水警報の危険度分布)URLはこちら

この呼びかけだけで避難行動をとるのではなく、ほかの大雨に関する情報と合わせてご活用ください。大雨災害に対する危機感を早めにもっていただき、ハザードマップや避難所・避難経路の確認等を行っていただくことが考えられます。

崖や川の近くなど、危険な場所にいる方(土砂災害警戒区域や浸水想定区域など、災害が想定される区域にいる方)は、地元市町村から発令されている避難情報に従い、直ちに適切な避難行動をとってください。周りの状況を確認し、避難場所への避難がかえって危険な場合は、少しでも崖や沢から離れた建物や、少しでも浸水しにくい高い場所に移動するなど、身の安全を確保してください。市町村から避難情報が発令されていなくても、今後、急激に状況が悪化するおそれもあります。キキクル(危険度分布)や水位情報等の情報を確認し、少しでも危険を感じた場合には、自ら安全な場所へ移動する判断をしてください。

5.車の水没に伴う危険性と対応策

線状降水帯による大雨などでは、道路溝の排水能力を超えた降雨により道路が冠水したり、アンダーパス(立体交差で、掘り下げ式になっている下の道路)など低いところにある道路が冠水したり、河川の氾濫、堤防の決壊により道路を含む広い地域が冠水することにより、車の通常走行が難しくなる、電気系統の故障が起きる(パワーウィンドウが作動しない)、マフラーへの水の侵入によりエンジンが停止、損傷する、ドアが開かなくなるなどのほか、車に閉じ込められたまま水流に流されてしまうなどの危険な事態が発生する可能性があります。

こうした事態への対応としては次のようなことが考えられます。

  1. 道路が冠水し始めた状態では、車を運転しない、運転中の車をなるべく安全な場所(高台など)へ移動させる、又は車から降りて安全な場所へ移動する。
  2. 水位が上昇し、ドアが開かない、パワーウィンドウが作動しないような状況のときには、消棒Rescue®などの緊急脱出支援ツールを用いて、ドアガラスを破砕して車から脱出する。
  3. ただし、水に流されている状況で外に出ることがかえって危険だと思われる状況では、家屋や固定設置物などで車が止まっている状態の中で、車から脱出して、安全と思われる場所に移動する。

詳しくは、以下のコラムで紹介していますので、ご参照ください。

【お役立ちコラム】車の水害対策は?いざというときの対策方法も紹介

【その他参考情報】JAF(日本自動車連盟)「台風・大雨時のクルマに関する注意点」

【その他参考情報】くるまのニュース ライフ 「運転中に「ゲリラ豪雨」に遭遇したらどうすべき? やってはいけないNG行為も!? 豪雨時のベストな対処法とは」

6.車に緊急脱出支援ツールを設置しましょう

線状降水帯が発表される頻度が増えています。6月から10月にかけては台風、線状降水帯、ゲリラ豪雨などによる自然災害が起こりやすい時期です。

緊急脱出支援ツールとして消棒Rescue®を車に設置しておけば、こうした災害のときに救われる可能性が高くなります。

消棒Rescue®は、ドアガラス(強化ガラス)破砕機能、シートベルト切断機能のほかに二酸化炭素による消火機能も備えており、車に関わる事故、水害、火災を含む種々のリスクに 対処することが可能です。

消棒Rescue®は、緊急脱出支援ツールとして製品の安全性、機能の有効性などについて、JIS認証を得た製品です。また、消火機能についても総務省消防庁の要求基準を満たした製品ですので、安心してご使用いただけます。

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著者情報

株式会社ワイピーシステム
消棒シリーズ マーケティング部門

日々の防災分野で役立つコラムを発信。
経済産業省「新連携」事業全国第1号認定を得て、二酸化炭素消火具「消棒®」シリーズを開発し製造販売しています。

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