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車両火災――全国で1日10件発生、真夏は火災リスクが増大

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車両火災――全国で1日10件発生、真夏は火災リスクが増大

猛烈な暑さが原因で山火事が起こるように、自動車の車内の温度が上がることにより、火災のリスクも高まってきます。

真夏の炎天下に車を放置すると車内温度は1時間で50℃に達します。さらに直射日光が当たるダッシュボードの温度は80℃近くまで上がるそうです。その温度は、1~2時間ほどで卵は目玉焼き状態になりクレヨンはドロドロに溶ける温度です。スマートホンを放置すれば使用不能の状態になることが実験で示されています。

もっとも危険なのは、充電中のモバイルバッテリーをダッシュボードに放置すれば、膨張、破裂し、そして発火する可能性があることが独立行政法人 製品評価技術基盤機構(NITE)の実験で示されています※。

モバイルバッテリー「6.高温下に放置して発火」

本コラムでは、車両火災の現状、原因及び対策についてお話しします。また、2022年7月コラム「車両火災について」の内容もアップデートしています。

1.車は意外と燃えやすい?

「木造建築は燃えやすい」というイメージをお持ちの方が多いでしょう。
一方、「車は燃えにくい」というイメージが強いかもしれません。

しかし、実際には、車両火災は頻繫に起きています。
総務省消防庁が令和5年11月に発表した「車両火災の現況等について」によれば、令和3年に起きた車両火災件数は3,512件となっています。
件数自体は減少傾向にあるものの、1日当たり10件近くもの車両火災が起きていることになり、少ない数とはいえません。

自動車メーカーは、より燃えにくい素材を開発して車の安全性を高めていますが、車を運転する方は、車両火災が起きないように気を付ける必要があります。

2.車両出火の出火原因

車両火災(消防白書より)

  平成30年 令和元年 令和2年 令和3年
出火件数(件) 3,660 3,585 3,466 3,512
死者数(人) 70 102 90 71

※死者数には放火自殺者等を含む。

令和4年版 消防白書」より
車両火災の主な出火原因と経過(令和4年版 消防白書より)

以上の通り、毎年3,500件程度の車両火災が発生しています。毎日10件程度の車両火災が発生している換算になります。排気管周りの火災発生が多いほか、ボンネット内や車室内での電気配線周りからの出火も多くなっています。またタバコの不始末による火災も見受けられます。

国土交通省自動車局が発表した「平成30年の事故・火災情報の集計結果」によれば、車両の走行距離も火災と相関関係が見られます。
下記の表のように、総走行距離が5万kmを超えた車両が、全体の約50%を占めているのです。
総走行距離が長くなればなるほど、部品などが劣化してしまうため、整備や点検などを十分に行うことが重要になってきます。

総走行距離別 1~1万km 10,001~5万km 50,001~10万km 10万km以上 不明 合計
火災件数 26 112 156 409 458 1,161
その他に以下のような出火原因も報告または指摘されています。

主な出火原因

  • 漏れた燃料やオイルへ引火
  • エンジンルーム内へ置き忘れた布切れからの出火
  • バッテリーのケーブル先端の部品が緩みショートが発生しオイル等への引火
  • フロントウインドウに透明の吸盤を貼り付け凸レンズ効果により可燃物が発火(収れんかさい)
  • 水を入れたペットボトルが光を集めて高温になったシートから発火
  • 車内の直射日光があたる場所にライター、マッチなどを放置し出火
  • モバイルバッテリーから出火

最近の車両火災

最近の車両火災の例をいくつか取り上げてみます。

モバイルバッテリーから発火

ーー東海テレビ 2021年11月13日発信

「助手席で発火、車全焼も…「モバイルバッテリー」で気を付ける4つのコト どうすると危険性高まるのか」

「三重・伊賀市で10月、車の助手席に置いてあったスマートホンのモバイルバッテリーから火が出て軽乗用車1台が全焼し、運転手の男性が左手に軽い火傷を負った。(中略)
警察によると、スマホを充電していた「モバイルバッテリー」が、運転中に突然発火したという。(中略)
モバイルバッテリーは、床に落とすなどして外から強い衝撃が加わったり古くなることで、内部が破損してショートし、発火の危険性が高まる。今回の伊賀市の事故も、伊賀市消防本部によると古くなってショートしたか、助手席で充電をしていたということで、直射日光によって高温になって発火した可能性があるという。」

原因不明

ーー南日本新聞 2022/04/06 21:08

「ボンネットから火が…」 男子高校生、車内から逃げ出す 指宿で車両火災

「6日午後2時45分ごろ、指宿市東方の「ダイソー指宿東方店」駐車場で、鹿児島市坂之上8丁目、飲食店経営男性(49)の乗用車から出火、車を全焼し、隣接する平屋倉庫の一部約15平方メートルを焼いた。

指宿署によると、男性は家族3人で買い物に来ていた。出火当時、高校生の息子が車内にいたが、逃げて無事だった。息子は「エンジンはかかった状態で、ボンネットから火が出た」と話している。」

たこ足配線

ーー北海道ニュースUHB 2021年10月23日10:00

「10月21日午後、北海道苫小牧市の駐車場で駐車していた軽乗用車から出火し、全焼しました。 車両火災があったのは、苫小牧市桜木町にあるドラッグストアの駐車場内です。

10月21日午後5時40分ごろ、目撃者から「車が燃えている」と警察に110番通報がありました。駆け付けた消防により火は約50分後に消し止められ、ケガをした人はいませんでした。警察によりますと、運転していた男性が買い物をするため駐車場に車を止め離れたあと、車内から出火。車は2010年式のもので1か月前に車検を受けたばかりだったということです。男性は「車内にたこ足状態の配線があった」などと話しているということで、警察が出火の原因を調べています。

総務省消防庁によりますと、2019年の車両火災の件数は3585件。出火原因で最も多い排気管に続いて、ショートやスパークなど「交通機関内配線」が9.2%の329件となっています。」

収れん火災(レンズ効果による火災)

ーーJCASTニュース 2022年4月1日

「焦った」フロントガラスの吸盤で白煙が 注意すべき車の「収れん火災」...体験者明かす当時の状況

「車のフロントガラスにお守りの吸盤を付けていたところ、突然ダッシュボードから煙が出て...。こんな動画がツイッターに投稿され、話題になっている。

【動画】お守りの吸盤が作用していた

■ケースの縁から白い煙がモクモクと上がり始め...

お守りの吸盤がレンズのようになって、車のダッシュボードの上に置かれたケースの縁の1点に太陽光が集まっている。サングラスを収納したケースだ。

すると、ケースの縁から白い煙がモクモクと上がり始める。そのまま放置したら、車両火災になりかねない状況だ。(中略)
吸盤などがレンズの作用をして物を発火させる現象は、「収れん火災」と呼ばれている。

収れん火災は、鏡やガラス玉など様々な物から起こることが知られており、消費者庁は20年11月26日、「『収れん火災』に注意!」などとサイト上で呼びかけた。※

消費者庁では、国民生活センターと連携して関係機関から情報を収集する「事故情報データバンク」を2010年から運用している。このデータバンクによると、収れん火災については、20年9月までの10年間に関連情報が20件寄せられた。」 」

消費者庁2020年11月26日ニュースリリース 「鏡やガラス玉で起こる「収れん火災」に注意!」

収れん火災(レンズ効果による火災)

3.車両火災の原因

車両は国土交通省の「道路運送車両の保安基準」に基づき、エンジン、ブレーキ、駆動装置、排気管、燃料、電気配線など広範な技術基準が定められており、車や車部品のメーカーは同保安基準に基づいた製造を行っています。したがって通常の使用によって車両火災が起こることはないものと考えられます。

このため車両火災の原因と防止策は以下のようにまとめることができます。

交通事故

破損したガソリンタンクから流れ出したガソリンに引火するなど、車の構造が破壊されるような事故の場合には出火の可能性があります。事故を未然に防ぐことがもちろんですが、事故により出火した場合の対応については後述します。

人為的な原因

  • 定められた定期点検を行うとともに、過酷な環境での運転が続いた場合など専門業者に車の点検を依頼する。
  • 排気管の近くに可燃物を置かない。あるいは、車を枯草が覆い茂る場所など、高熱によって発火しやすい場所に置かないこと。
  • ボンネットを開け、オイル交換をした場合に布切れを残さない、電気系統を操作した場合(バッテリーのケーブル接続部分など)にきちんと元通りにするなど。こうした操作は専門業者に依頼する方が安全です。
  • 車内に火災の原因となるものを持ち込まない、取り付けない。特にダッシュボードなど高温になる場所に、モバイルバッテリー、スマートホン、ペットボトル、アクセサリー取り付用の透明な吸盤、ライター、マッチ、ガソリン、アルコールが入ったスプレー缶などを置かない。
  • ドライブレコーダー、カーナビ、カーオーディオ類など電気器具を取り付ける場合の配線周りに注意する。こうした取付けは専門業者に依頼する方が安全です。
  • モバイルバッテリーを充電したまま、あるいはモバイルバッテリーでスマートホンを充電したまま中のまま車内に放置しない。
  • 車内で仮眠をとる場合には、エンジンを切る。寝ている間にアクセルの空ふかしを続けていると出火の原因となる場合があります。
  • 車の改造は専門業者に依頼する。とくに排気管周りの安易な改造は危険です。

この他、トヨタ自動車の資料をご参照ください。

(参考)トヨタ自動車株式会社「車両火災を起こさないためにお守りいただきたいこと」

4.車両火災が発生した場合

原則、以下の手順で対応します。(状況に応じて一部のみ、または順序が変わる)

  1. ハザードランプの点灯
  2. 路肩側に駐車
  3. 119番に通報
  4. 可能な場合に限り出来る範囲での初期消火
  5. 自身や同乗者の安全の確保

5.車両火災を起こさないためには

では、車両火災を起こさないためには、具体的にどうすれば良いのでしょうか?
主に「日常の注意」と「メンテナンスと事前の準備」が重要だと考えられます。

日常の注意

車両火災の原因」でお伝えしたように、交通事故や車内に火災の原因となるものを持ち込むなど、人為的なものが車両火災の主な原因となっています。

交通事故を起こさないように注意するのはもちろん、車両でも火災は起こるという認識を持ちましょう。火災の原因になりそうな物を持ち込まない、車を離れる際はエンジンを切るなどを徹底する必要があります。

カーナビやドライブレコーダーなど、追加の電気装置を車両に取り付ける場合は、専門家による適切な取り付けを確実に行います。配線接続の不備があると、発火する恐れがあります。

また、車から異常な音や匂い、煙が出た場合はすぐに専門家に相談し、必要であれば車を停止して安全を確保してください。

メンテナンスと事前の準備

「車両出火の出火原因」でお伝えしましたが、走行距離の長い車両ほど、火災が起きやすくなっています。このため、定期的な点検とメンテナンスが重要です。

車検はもちろん、電気系統のチェックやエンジンルームの清掃、燃料系統の確認など、自身の手または専門業者に依頼して定期的に実施しましょう。
特に、オイルや冷却水量は、メンテナンスが悪いと発火の原因になりやすいため、忘れずに実施する必要があります。

また、規格外のものを取り付けると火災につながることもあります。たとえば、バッテリーやランプ類、タイヤなどは指定の規格、サイズ、形状のものを使用しましょう。

6.車の水没、交通事故時の緊急脱出、車両火災対策のために消棒Rescue®の常備をおすすめします

消棒Rescue®※は、交通事故、車の水没時などの緊急時において、シートベルト切断しドアガラスを破砕することで車からの脱出を支援するとともに、エンジンルームや車両室内の初期消火機能を有しています。消火剤には二酸化炭素を使用しており、エンジンルームや室内などを汚しません。さらに電気系統の消火に用いても液体ではないため電気ショートを起こしません。

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ただし既に車が炎上している、あるいは炎が車外まで出ているような場合には、危険ですのでご自身や同乗者の安全確保の観点から、車から離れるようにしてください。

初期消火については、法令(消防法及びエアゾール式簡易消火具の技術上の規格を定める省令)に基づく「小規模普通火災」の消火能力※を有しています。

※自動車クッションの場合には、横1m縦1m高さ10㎝のウレタンフォームに着火して30秒経過した後に消火し消火剤の放射終了時に残炎が認められず、かつ、消火剤の放射終了後一分以内に再燃しないものであること

実際どの程度の消火が可能なのかは、以下の映像及び写真を参考にしてください。


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著者情報

株式会社ワイピーシステム
消棒シリーズ マーケティング部門

日々の防災分野で役立つコラムを発信。
経済産業省「新連携」事業全国第1号認定を得て、二酸化炭素消火具「消棒®」シリーズを開発し製造販売しています。

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