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病院で起こりうる火災の原因と事例について

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病院で起こりうる火災の原因と事例について

病院や診療所などの医療機関は、出火・延焼につながる薬品や機器が多いため、火災が発生しないよう十分な対策が求められます。しかし、実際には全国で年間100件前後の火災が報告されており、未然に防ぐことの難しさも感じさせます。

ここでは、病院で実際に発生した火災の原因や事例をお伝えするとともに、火災が起きた際の対応策についても紹介します。

1.病院で起きた火災の原因・事例

日本病院会がまとめた報告によると、2016年に病院や診療所で発生した火災の件数は、全国で100件だったそうです。

また、東京消防庁管内における病院で起きた火災を、原因別にみると、以下の順で多くなっています。

病院火災の原因

  • 放火:28%
  • 厨房機器(電子レンジ、電気トースターなど):9%
  • 照明機器:9%
  • 設備関連(洗浄機、送風機など):8%
  • ライター:6%
  • たばこ:5%
  • 医療機器(電気メス、超音波治療器など):3%
  • 配線関連:3%

…など

参考:日本病院会「病院等における実践的防災訓練ガイドライン」
https://www.hospital.or.jp/pdf/06_20180529_01.pdf

病院の火災原因でもっとも多いのが放火で、入院患者がシーツに火をつけるなどして発生する火災が報告されています。このほか、電子レンジなどの厨房機器、照明機器、洗浄機などの設備を使用中に発生する火災も多いようです。具体的な火災の事例について、以下に紹介します。

電子レンジで簡易式カイロを温めていたら出火

ナースセンター内の電子レンジで簡易式カイロを温めていたところ、電子レンジ内部から煙が発生。煙感知器が感知し、警報を発するトラブルが起きています。出火原因は、カイロ内部のジェルが経年劣化したことで正常に熱を吸収できず、加熱により発火したものとみられます。

ほかにも電子レンジによる火災には、食品の過熱中や調理不可の包装を誤って加熱したことで発火するケースもみられ、東京消防庁管内だけでも年間30件くらい発生しているようです。

アームライトにタオルをかけていたら出火

入院患者が、ベッドに備え付けのアームライトにタオルをかけたまま就寝。そのタオルが白熱灯の熱で発火し、火災につながったケースもあります。

このほかアームライトなどの照明器具に洗濯物を干したり、布製カバーを被せたりして火災につながるケースもあり、入院患者への周知徹底も必要でしょう。

2.手術中に火災が発生するケースも

病院で発生する火災を出火箇所別にみると、最も多いのが「病室(19%)」で、その次が「診察室・手術室(15%)」だそうです。手術室で起きた火災のなかには、手術で使用する電気メス・レーザーメスなどの機器が出火原因となるケースも報告されています。

具体的には、高濃度酸素の人工呼吸管理下で電気メスを用いた気管切開を行っていたところ、切開部から突然出火し、患者が大火傷を負う事故が発生しています。

また、アメリカでは「手術中に起きた火災原因の90%は、電気メスによる引火」という報告もあり、高濃度酸素やアルコール消毒剤などへの引火が火災につながるケースも伝えられています(※)。

高濃度酸素は、電気メスの電極先端で発生する火花の勢いを強め、急激に火が大きくなる場合があります。いったん引火すると酸素供給源を閉じるまでは火が消えず、迅速に対応しなければ延焼につながる危険もあるため、細心の注意が求められます。

(※)1985~2009年 ASA Closed Claims Database

手術中に起こった火災の事例

大動脈弁置換術の最中に、火災が発生。患者に被害はなかったものの、手術をする医師の清潔ガウンに燃え移ったり、カテーテルや蛇管などが焼けたりする事故がありました。出火原因は、電気的焼灼装置の不具合。通電ボタンを押し続けたことが発火原因になったとみられます。

また、別の病院では子宮頸部円錐切除術でレーザー手術器を使用中に、患者を覆うドレープから出火し、火災が発生したケースもありました。ただ、出火箇所は患者の足元部分でレーザー手術器を使用する箇所から離れていたこと、また手術機器に異常がなく、消毒などにアルコールを含有したものを使用していなかったことから、出火原因は不明だそうです。

3.万が一、病院で火災が発生したら

病院や診療所は、消毒用アルコールや医薬品、酸素吸入器、電気メスをはじめとする医療機器など、出火危険の高い施設でもあります。その一方で、自力で避難することが難しい入院患者もいるため、初期消火活動を実施するとともに、速やかに患者を避難誘導することが求められます。

特に、火災時の初動対応は重要です。電気メスを用いる手術中に発生した火災の場合、酸素供給停止後に生理食塩水などでの消火活動を、医師や看護師が対応しなければなりません。

また、医療機器や配線関連が出火原因の場合、水で消火するとかえって火の勢いが増す場合がありますから、消火器で初期消火をする必要があります。

ただ、消火器の使い方に慣れていない方には、初期消火に手間取ることも考えられます。そこで活用したいのが、「簡易消火具」です。

ワイピーシステムでは、一般的な消火器よりも軽量・コンパクトで、消火効果も十分に発揮できる「消棒Rescue®」を提供しています。使い方も簡単で、女性や高齢者でも扱いやすく、いざというときに迅速な初期消火を実施できます。

消火剤には、電気火災にも適用した二酸化炭素を使用。粉や泡の消火器のように周囲を汚すことがなく、医療機器などを守るうえでも有効です。なお、二酸化炭素は炭酸飲料などに使われる食品添加物由来で、濃度も軽自動車内で消棒Rescue®を使用しても、CO2(二酸化炭素)は人体へ影響の出る1/4程度(約1%弱)にしかならないので、人体に影響を及ぼすリスクはありません。消防法にも準拠した簡易消火具ですから、病室や手術室などに設置してみてはいかがでしょうか。

4.まとめ

病院や診療所には、火災の原因となり得るものが多く存在します。消防法などの関係法令に遵守するのはもちろん、万一の火災発生に備えて消防訓練を実施することも大切です。

また、実際に火災が起きた際には「初期消火」が重要です。消火器のほか簡易消火具も院内の各所に設置することで、初期消火を確実に実行できるようになり、多くの人命を守ることにつながります。簡易消火具をお求めの方は、当社の「消棒Rescue®」もぜひご検討ください。


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著者情報

株式会社ワイピーシステム
消棒シリーズ マーケティング部門

日々の防災分野で役立つコラムを発信。
経済産業省「新連携」事業全国第1号認定を得て、二酸化炭素消火具「消棒®」シリーズを開発し製造販売しています。

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