
夏が近づくと、エアコンや扇風機を使用する機会が増えてきます。その際に注意したいのが「火災のリスク」。エアコンや扇風機でも、使い方を誤ると突然発火して火災につながる事故が発生するのです。
ここでは、エアコンや扇風機の出火原因や被害ケースを紹介するとともに、安全に使うためのポイントをお伝えします。
夏の時期に活躍するエアコンや扇風機ですが、使用頻度の増加に伴い 事故が多く発生しています。事故情報において、 エアコン及び扇風機の事故は 2018年度から2022年度の5年間に合計409件 (エアコン:343件、扇風機:66件)あり、その約半数に当たる 186件が6月 から8月の夏期にかけて発生しています。さらに、事故のほとんどが火災事 故となっており、注意が必要です。
目次
1.エアコンの主な出火原因
エアコンの出火原因には、主に電源コードの接触不良や機器内部の異常発熱・ショートといった事例が多く見られます。具体的なケースとして、以下のような原因が確認されています。
- 電源コードの接触不良(ねじり接続・延長コードの接続など)
- エアコン内部の洗浄にともなう電気部品のショート
- 室外機のショート …など
電源コードの接触不良(ねじり接続・延長コードの接続など)
「ねじり接続」とは、電源コードの電線をねじり合わせてつなぐ方法です。ねじり接続は、オーディオ機器のスピーカーのコードを延長する際などに用いられますが、電流の小さいところであれば問題なくても、エアコンのように大きな電流が生じると電源コードが異常に発熱し、出火することがあります。
ほかにも、エアコンのプラグを専用コンセントではなく延長コードでつないだ場合にも、異常発熱や発火するおそれがあります。
エアコン内部の洗浄にともなう電気部品のショート
エアコン内部を洗浄する際に洗浄液などが電気部品に付着し、そのまま通電させたことで電気部品がショート・発火する事故も報告されています。自分で洗浄するときは、電気部品に付着しないよう注意しなければなりません。
室外機のショート
室外機の内部に埃が溜まったり小動物が入ったりして、基板がショートして発火することもあります。室外機の周辺に可燃物があると、火が燃え広がり大きな火災につながるケースもあるようです。
2.扇風機の主な出火原因
扇風機の出火原因には、主に古い製品を使い続けたことで配線の接触不良や異常発熱・ショートといった事故が見られます。具体的なケースとして、以下のような原因が確認されています。
- モーター部品の劣化による発火
- 配線の断線やショート
- 携帯扇風機(手持ち扇風機)の発火 …など
モーター部品の劣化による発火
扇風機のモーター部品が劣化したり、コンデンサーが絶縁劣化したりといった経年劣化により、モーターがスパーク。異常発熱や発火する事故が確認されています。また、動かなくなった扇風機をコンセントにつないだまま放置し、トラッキング現象などにより発火する事故も起きています。
配線の断線やショート
首振り機能のある扇風機の場合、内部の配線が繰り返し折り曲げられたことで断線。ショートして発火するという事故も起きています。
携帯扇風機(手持ち扇風機)の発火
近年増えているのが、携帯扇風機(手持ち扇風機)が突然発火し、利用者が大やけどをするといった事故です。携帯扇風機を落とすなど強い衝撃を与えたり、高温になる場所に放置したりすると、リチウムイオンバッテリーがショートし、発煙や発火、破裂といった事故につながるケースが起きています。詳しくは、以下の記事で解説しています。
手持ち扇風機で爆発が多発!注意すべき点と対策をご紹介
3.エアコン・扇風機の火災件数とトラブルのサイン
独立行政法人の製品評価技術基盤機構(NITE)によると、2018年度から2022年度の5年間にエアコンによる事故は343件、扇風機は66件発生しているようです。これとは別に、手持ち扇風機による事故も5年間で少なくとも45件が報告されています。
これらの事故の過半数が6月から8月にかけての夏期に発生しており、その多くが火災につながっています。特に、エアコンや扇風機を使い始める時期は、製品に異常がないか確認したうえで使用すること大事です。具体的には、以下のような現象が見られるときは使用を中止し、販売店やメーカーに相談してください。
エアコンのトラブルのサイン
- 電源コード・プラグが異常に熱い
- 電源プラグが変色している
- 焦げくさい臭いや異音がする
- ブレーカーが頻繁に落ちる
- 室内機からの水漏れが増えた
扇風機のトラブルのサイン
- スイッチを入れても羽根が回らない
- 羽根の回転が不規則で異常な音や振動がする
- 電源コードやモーター部分が異常に熱く焦げくさい臭いがする
- 電源コードが折れ曲がっていたり破損したりしている
- 羽根にヒビが入ったりガードが変形したりしている
参考:
製品評価技術基盤機構(NITE)「エアコン・扇風機の事故」
政府広報オンライン「扇風機やエアコンで火災発生!安全に使うための注意点とは?」
4.エアコン・扇風機のメンテナンスと安全な使い方とは
エアコンや扇風機による火災を防ぐには、正しい用法で使用するとともにメンテナンスをしっかり行うことが大事です。製品を安全に使うために、以下の点を確認しましょう。
エアコンの電源コード・プラグは正しく接続する
エアコンのコンセントの形が合わなかったり長さが足りなかったりして「ねじり接続」を施すと、異常発熱や出火するおそれがあります。ねじり接続をしている部分には、ビニールテープが巻いてあったり途中で電源コードの色が違っていたりすることがありますので、こうした部分があるエアコンは使用を避けてください。
また、電源プラグも専用のコンセントに直接つなぎましょう。延長コードやタコ足配線をしていると、発熱・発火する危険があります。
適切な清掃を行う
製品や電源プラグに埃などが付着していると、異常発熱などにより発火する場合があります。きれいに掃除をしてから使用しましょう。
エアコン内部を洗浄するときは、洗浄液が電気部品に付着しないよう注意が必要です。できれば専門業者に依頼するなど、正しい知識を持った人にクリーニングしてもらうことをおすすめします。
エアコン室外機の周辺に可燃物を置かない
エアコン室外機のまわりを、きれいに整理することも大事です。ダンボールなどの可燃物が近くにあると、異常発熱や発火した際に燃え移って火災になることがあります。また、生ごみを放置するとゴキブリやネズミなどの小動物が室外機に入ったりコードをかじったりして、ショート・発火する可能性があります。
古い製品は買い替える
古くなった製品は、経年劣化による事故の可能性が高まります。特に扇風機は、20年30年も使い続けると部品の劣化や断線などによるショートや発火が起きる可能性があります。「まだ動くから」と無理に使用せず、新しい製品への買い替えを検討しましょう。
5.火災になったときの対策も忘れずに
エアコンなどの家電製品を注意しながら使用を続けても、何らかの不注意により出火・火災になる可能性もあります。万が一火災になったときに備えて、対策を練ることも大切です。
たとえば、避難経路。就寝中に起きた火災だと、気づいたときには燃え広がって逃げ遅れるおそれがあります。火事に気付いたらすぐに避難できるよう、避難経路をしっかり確認しておくことが大切です。
また、大きな火事にならないためには「初期消火」も重要です。自分の背丈よりも火が小さいときは、消火器や簡易消火具などで消火を試みることで、延焼を防げる場合があります。
消火器に使い慣れていない人は、手軽で使いやすい「簡易消火具」を備えておくと安心です。当社が開発した「消棒Rescue®」は、一般的な消火器よりも軽量・コンパクトで、女性や高齢者の方でも使いやすい簡易消火具です。
消火剤には、食品添加物などにも使用される二酸化炭素を採用。エアコンや扇風機による電気火災にも対応しており、十分な消火効果を発揮します。また、ガスで消火することから消火剤が残らず、後片付けも容易です。いざというときに備えて、消棒Rescue®を検討されてはいかがでしょうか。

6.まとめ
使い慣れている家電製品でも、誤った使い方やメンテナンス不良などにより火災につながることがあります。エアコンや扇風機も、異常発熱や出火するケースがありますから、正しい用法で使うことが大切です。古くなった製品は、買い替えも検討しましょう。